台所に立つことの動機は、やはり「お腹がすいた」、「おいしいものが食べたい」、それで十分なのだ。シャンソン歌手「藤原素子」が綴る、日々の、普通の食卓のレシピ

貧すれど鈍せず

白菜の炊いたん

『貧すれど鈍ぜず』への書き込みは久しぶりだ。
このHP2008年8月の「日々の出来事」に書いたとおり、あまり肉や魚を食べなくなったこの頃。外食ではまったく気にしないものの、普段は野菜を中心とした料理をせっせと作っては食べている。

自分が変わり者だとアピールし過ぎるのもナンなので、レシピを公開するのをハバかっていたのだが、相変わらずのビンボー料理。ハジをさらすのもいいかと思い、ボチボチ書き足していくつもりだ。

さて時は冬。
冬に限らず、母直伝の野菜料理は年中作っている。
「野菜の炊いたん」だ。

念のため言えば、「炊いたん」は、標準語で言うと「煮たもの」のことで、私の郷里では、米以外に、野菜も魚も「炊く」と言うのだ。
「でーこんてーてーてー」の意味は、ネイティブな岡山人に訊いてください。ついでに「いんどかれー」も、ウケる方言の横綱。

物価高騰の時節、安い野菜はというと・・・そう、白菜だ。
鍋に良し、鍋に良し。・・・そんなに連日鍋ばかりではツマラナイので、半株はいっそ「炊いて」の1品にしよう。

温めた鍋に油少々。白菜を適当に切って投入。鍋からあふれそうになるくらいの量でもOK。焦げそうになるなら水を少し足してフタをする。じきにシンナリするので、ダシの素・酒・砂糖・塩・しょう油をそれぞれ少量ずつ。
再びフタをして少し炊けば出来上がり。

白菜以外に、小松菜でも水菜でも、なんでもよろしい。大根を1センチ強程のナナメ切りにしたものも素晴らしい。
最後に油揚げを加えてもいいし、戻した麩を加えてもいい。ベジタリアンでなければ、豚肉の細切りもいいだろう。
冷めたら煮浸しとなる。
温めなおして片栗粉でトロミをつけたのも、冬には嬉しい。
母は、これに一人1個ずつ卵を落として、半熟にしたものをよそってくれた。

何でもないオフクロの味。
毎日必ず食べる「炊いたん」。
やっぱり冬は人恋しい。


(2009.1.12)



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