台所に立つことの動機は、やはり「お腹がすいた」、「おいしいものが食べたい」、それで十分なのだ。シャンソン歌手「藤原素子」が綴る、日々の、普通の食卓のレシピ

貧すれど鈍せず

新たな決意

何年も、この「食」についての章を更新していなかった。

書き始めた時とは生活は変わった。後援会をつくっていただき、ライブの数も増えた。芝居からは遠ざかってしまったが、ステージの上で3分間の物語を演じることに四苦八苦している。

それでも、以前と状況がさほど激変しているわけではない。
仕事の間でやむなくラーメン屋に入ることもあるが、ほとんどは自分の作ったものを食べるし、バイトもしながら月末にピンチをむかえることもある。
そう、いまだに「貧して」いるのである。

それでは「鈍して」いないか?となると、これはアヤシイ。

多少の小銭(比喩じゃありません)は持てるようになった。
以前のようにスーパーの肉のコーナーを素通りしてしまうこともなくなったし(少しは覗くので)、調味料がないばかりに思った味が出せないこともなくなった。オーガニック野菜と有機卵を宅配してから久しい。

多少の環境が良くなったことに満足していないか、周りに流されていないか、己の確認のためにも、またこの章を再開することにする。


2006.8.12



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