不定期更新!?藤原素子の日記帳です。

日々の出来事 〜Diary〜

#539 快気祝
2011年01月10日(月)03時48分
歌の先生に師事してから、15年になる。
元はジャズのギタリスト。
シャンソン教室などで教えている人の中には、自ら歌手活動をしている人が多い中、私の先生は歌わない先生だ。
それはとても奇妙なことに思われるかもしれない。レッスンと言えば、先生がお手本を示して、生徒がそれに倣うというのが、常識だろう。
これは逆を言えば、「先生が出来ること」以上のことは、「生徒は出来ない」ということだ。
私の先生は、その点、まったく容赦がない。先生曰く、自分が歌わないからこそ、「もっと良くなるはず」という、無限の要求が出来るそうだ。
本当にその通りで、やればやるほど、指摘が増えてゆく。一つの課題をクリアしていくと、さらにその先に課題が出来る。1小節に四半時かけることなどもしょっちゅうで、それは「重箱のスミ」をとっくに超えている。
たぶん、人がレッスンに立ち会って聴いたとしても、何をどうしようとしているのかわからないかも知れない。ほんの16分の1音符、ほんの音量の大小を、ああでもないこうでもないと、試してみたり、投げ出してみたり、3時間、4時間などが、あっという間に過ぎてしまう。
初めはまったく箸にも棒にもかからなかっただろう私が、必至にしがみついたせいか、「先が楽しみだ」と言われた時は、心底嬉しかった。そのお陰で今日まで活動を続けられているようなものだ。
常に二人三脚でいたその先生のレッスンが、この3ヶ月間なかった。
突然の入院と自宅療養。ご高齢のお一人暮らしで、生徒一同心配したものだが、今月から無事レッスン再開で、じつに感激の再会となった。
レッスンが受けられなくても、サボらずやってきたつもり。「先生、私はこんなにやっていたよ!」と示したかったはずが、相変わらず容赦ない重箱っぷりで、やっぱりレッスン後にはヘトヘトに打ち砕かれてしまった。この分だと、先生も当分健在だろう。
レッスンはツライ。いや、先生と私の隠語のようなもので、これは「修行」と考えている。
現在、私が実現しているのは、理想の内の、ほんの10分の1、100分の1かもしれない。残りの道を、一歩でも前へ進むべく、ただ毎日の作業を続けていくことが、私のアカシである。
(先生のことは、3ヶ月前からここに書きたかったのですが、全快されたとのことで今、やっと安心して書くことが出来ました。ヨカッタ!)


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