日々の出来事 〜Diary〜
#816 キツネコンコン 2016年11月13日(日)03時26分
料理ネタが目立つが、どうかお付き合い願いたい。 ちょいと美味しそうな油揚げを買った。小ぶりな油揚げが5枚で100円。冷蔵庫の小松菜と炊くのによさそう。 問題は、一般に油揚げの下処理だ。 幼いころから、実家では毎日のように野菜の「炊いたん」が食卓にのぼった。ある日は白菜。ある日は小松菜、京菜や、時には大根をザクザクに切って、鍋に少々の油を熱したら、強火で一瞬炒めたのち、ダシと酒、砂糖と醤油で味を入れたらフタをして、材料がほどよい加減になるまで加熱する。ここに欠かせないのが油揚げで、適当に切ったものを入れると、コクが出てうま味となる。夏場は冷やして煮びたし。ごく日常の惣菜だ。 油揚げは、味噌汁にも欠かせない。細切りにしたものを、フリーザーパックに入れて冷凍庫に常備してある。 ・・と、ある日それを使おうとしたら、水気が凍ってシャリシャリ。何やらプンと臭うのは、変質した油のニオイか。やっぱり冷凍は万全じゃない。 ふと思いついて、例の「油抜き」という下処理を試してみた。 ザルに油揚げを入れて熱湯を注ぐという方法があるが、今回のやり方は、鍋で3分ほど煮るという方法。このとき、塩大さじ1杯を加える。水洗いしてぎゅっと絞る。 これを小松菜と炊いたのが、思いのほかスッキリとした出来栄えで、油揚げがひとつの具材として引き立っているのに驚いた。 油抜きをした油揚げ。さらに俎板に乗せて、箸でぎゅっと転がして水気を抜く。これを短冊に切って、フリーザーパックに入れて冷凍する。これなら「霜焼け」することなく、味噌汁の具材にも問題ない。 ひと手間が、味覚を大きく変えることがある。これは本当の美味しさには欠かせない精神で、やたらと「時短」と叫ぶのは、長い意味では大きなものを失うことになるのではないか。美味しいものを、じっくり作ろうという姿勢こそが、食卓を豊かにしていくのではないか。おっと、ホンマもんの歌と同じやねえ。
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