日々の出来事 〜Diary〜
#806 うどん愛 2016年10月09日(日)02時59分
サクッと食事をしなければならない時、たまに立ち寄るうどん屋がある。 近年、東京でもいろいろな立ち食いチェーン店がしのぎを削っているものの、讃岐うどんで育った私にはいずれも納得がいかない。全体が何となくとがっているような気がしてならないのは、これはきっと蕎麦の文化が根強く根底にあるからだろう。シャキッとした蕎麦は、江戸の気質を表した典型的なファストフードのひとつで、濃いめのつゆが、ぴったり醤油文化を表している。 反対に、讃岐のうどんは、コシがあるように見えて、その口当たりはふんわりと柔らか。小麦の風味と、まったりしたのどごし。出汁の風味がやさしく、毎日でも食べ飽きないなめらかうどんだ。 これに近くて気に入っているのが、かの「おにやんま」。B級グルメで有名な店とは後で知った。 とにかく狭い。十数人が立つコの字型のカウンターを囲む中心が調理場。二人立てばいっぱいのところで、麺の茹で、洗い、温めのエリアと、天ぷらを揚げるエリアが、実にシステマティックに構成されている。 さて、この店の定番は、何と言っても「とり天うどん」。とり天などは、この店に来るまでほとんど食べたことがなかった私だが、ここのとり天は絶品で、下味にショウガが効いていて、揚げたてアツアツ。冷めた天ぷらをトッピングするチェーン店との差はこの時点で決定的だろう。七味も置いてあるが、ベストチョイスは、おろしショウガをたっぷり落とし込むのがおすすめだ。つゆの風味をより引き立ててくれる。 と、時折ハシゴが下りてくる。上には麺を打つ場所があるらしい。それを茹でる。天ぷらはとにかくバンバン揚げていて、調理の二人が絶妙なタイミングで注文をさばいてゆく。東南アジアの屋台で食事をしているようでいて、味はA級。めったに外食しない私が、2週間行かないと恋しくなる、まるでDNAに語りかけてくれるような、ホッと安心する味。 私のシャンソンも、そんなところでやっていけたらナァと、うどんをすすりながら思った今日でした。
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