日々の出来事 〜Diary〜
#593 ぼつぼついっても田は濁る 2011年05月07日(土)10時45分
入院中の母と電話で話しているうち、「ぼつぼついっても田は濁る」心境なんだとのこと。 ハテ、どんな意味? 調べてみると、果たしてあった。 映画監督の新藤兼人氏のコラムによると、米作りでは、田が濁ってから稲を植えることから、焦らずぼつぼつ日を過ごせば、田はそのうち濁ってくる。苦しみや哀しみがあったとしても、そのうちには目的に達する日が来る、という意味なんだそうだ。 母曰く、昔は本当によく言われていた言葉なんだとか。 米作りにも、田植えにも縁が薄くなってきて、次第に使われなくなった諺だ。
実家に帰ると、こんなふうに、知らない言葉と出会う場面がある。 両親の会話の中には、今でも私が初めて耳にする言葉があって、おかげでダイニングテーブルには、いつも電子辞書を持参することになる。 とりわけ、父が使う古い方言については、辞書など役に立たないことが多い。そこで、それぞれが、語源を推測したり、想像を膨らませたりする。
昔の人の言い回しには、本当に味わい深い言葉が多い。確実に生活に根ざしている言葉だったからだろう。ともすれば、くじけそうになる私を励ましてくれるのである。 日本語はやっぱり素敵だと思う。
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