日々の出来事 〜Diary〜
#530 ドガ 2010年12月22日(水)01時48分
ゴッホの残像から覚めやらぬまま、ふと思い出した。 そうだ。ドガ・・・。 こちらも長い会期のように思えたが、残すところあと10日。ひょっとしたら不慮の事故があって、明日命を落とすかもしれないのだ。もう、足は横浜に向っていた。 ドガといえば、エトワール。 躍動するバレリーナと華やかなスポットライト、パステル色に揺れるチュチュ・・・。 一体そんなイメージを、私はどこから得たのだろうか。 実際の作品は、おしなべて暗いトーンだ。画家の心の底に、沈んでいる闇が、シンシンと迫ってくるのである。 デッサンも多く展示されていて、これが150年も前の習作かと、もう、年月の感覚がわからなくなってしまう。肖像、風景、静物、彫像、そして写真・・・。創作は多岐に亘っていて、「ドガ」=「踊り子」というイメージを持ったこと自体が、私たちにとって不幸なことだったかもしれない。 それにしても、「湯浴みする女」の一連は、素晴らしかった。 多くは背後からのアングルで描かれていて、そのどれもが、躍動感で溢れている。背中から臀部の肉感が、何か人間の尊い美しさを讃えているような、神々しささえも感じられる。 エトワールを描いた時の影と対比するように、その女性たちだけは、永遠に明るい光の中に息づいているような気がするのである。 ルーブルも、オルセーもないけれど、数日の間にこんなにいろんな作品が見られるなんて、この街まんざらでもないナァ。
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