日々の出来事 〜Diary〜
#525 私を泣かすもの 2010年12月13日(月)00時51分
『おやすみ、母さん』という二人芝居を観た。 私が中村真季子と出会って、もう20年になる。少女だった彼女も、もう母親役(しかも中年の!)を演じるようになったのだね。 上演時間1時間20分。終始かなりの早口なので、本にしても1冊となるだろう。 今夜自殺しようとする娘と、それを止めようとする母。極限状態で交わされる会話の中で登場する数々の人物と、人間関係。そして洗濯物、宅配食料、キャンディーにココア・・・。 アパートメントの1室を取り囲んだように座る観客の中で、対峙する役者ふたり。これはリアルか、虚構か。 正直、翻訳劇は好きになれない。日本語を信仰しているせいもある。ニール・サイモンの翻訳劇を観すぎたせいもある。台本を読んだだけなら、この半分の理解も得られなかったかもしれない。 先週の私は一勝一敗。敗北の元凶のすべてが語られているような、まさに私がしゃべったことが、舞台でしゃべられていたような、そんな錯覚に陥る。私にピストルの引き金を引く勇気があるか。 役者にしか出来ない仕事があるのだナァと、芝居が終わって、気がつくと号泣していたのだった。 昨日は昨日で、先輩の役者のパフォーマンスを横浜に観に行った。 こちらはほとんど無言劇。進行していく時間の中で、人間の輪郭と空気、衝動と静寂のハザマが、永劫に続く人間の悲哀を感じられるようで、胸がいっぱいになる舞台だった。 極端な二つの舞台を観た。 今週も突っ走る所存です。
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