日々の出来事 〜Diary〜
#448 箱根へ 2009年10月06日(火)23時35分
旅行へ行くのが楽しみのひとつ。 今年はライブも少し続いていたのが、やっと余裕が出来たので姉と一泊で箱根へ行く。 普段は「引きこもり」を自称している私だが、旅は別だ。とにかく旅程を決めるのにもウキウキしてくる。やっぱり旅はいい。 姉とは近年、度々旅行をしているが、生い立ちのせいか、好みも似ているのでまったく気兼ねがない。今年は三島のクレマチスの丘へ行って美術館ヅイているので、かねてから念願の箱根彫刻の森へ。 目的はピカソ館。20年ほど前にもなるか、ここでピカソを見た時の衝撃が忘れられない。なんという意志、創作への意欲、天才の名にふさわしいばかりか、その努力の一端を垣間見る思いがしたことだ。以来、ピカソとなると何がなんでも追いかけた。上野のピカソ、モンマルトルの「洗濯船」、マレ地区のピカソ美術館・・・。 いや、ピカソだけではない。それから発展して、絵を見るのが趣味の一部となった。 育った倉敷には、日本で最初の西洋美術館として名高い大原美術館がある。子供の頃から幾度となく訪れていて、ごく自然に絵画には親しんでいたものの、積極的に絵を鑑賞するようになったのは、この体験がきっかけだったように思う。 その彫刻の森への再訪。20年の間に、数々の絵画と接してきた。歳月を経て、今の私にはどのように映るのか、期待半分不安半分といったところだ。 果たしてそこには、あっけないほどの「実存」があった。 記憶にあったのは、アトリエを再現したような展示形態だったのが、たぶんその後改装したのだろう。作品の羅列したいわゆる美術館の形態と変わっていた。その中に淡々と並ぶ作品。特に晩年の作品で、陶芸を中心にしたものが多いようだ。 年月が経った。私も年を重ねてきた。その果てにあるものは、ただただ変わらずに実存する作品であった。そこには、青の時代、バラ色の時代、キュビズム、ゲルニカ・・・数々の時代を超えて、その果てに、ピカソという存在だけが佇んでいるような、時をも越えて、永遠に居続けるような、そんな不思議な気持ちにさせられた再訪となった。 余談を承知で言うと、これは「落語」に似ている。名人と言われる噺家には、ある意味肩すかしをくらったようなオチがある。いや、オチとして成立しないような、起承転結にもならない、起承転転となって、結論なんて出ないでふっと逃げ切ってしまうようなバカバカしさ。解説や論争などどこ吹く風、ニヤッと笑ってしまうそんな江戸の美学や粋に、どこか通ずるものがある。やっぱりピカソは永遠だ。
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