日々の出来事 〜Diary〜
#442 それでも、書くのよ 2009年09月08日(火)01時15分
先日、楽屋バナシで、自作自演の歌について話す機会があった。 作詞家という職業が絶対に存在しなければならないと思うのだが、今や自作自演の人やバンドが大半だ。自分がわかる範囲のことを歌うので、ノリやすいだろうと思うし、聴く側もそこのところを汲み取って共感すればいいのだろう。双方にとって楽チンな作業だろう。 ところがこれが案外落とし穴で、数曲聴くと飽きてくる。ごく狭い日常のことを綴っているだけの、幼稚さを感じることが多い。 さて、シャンソンを歌っていて、訳詩に感心することがある。曲によってはいろいろな訳詩があって、その都度選んでいるつもりでも、結果的にはやはり著名な訳詩家のものを選んでいたりする。『餅は餅屋』のとおり、言葉のプロフェッショナルがいるものだと思う。 初めは「これをどう訳すとこうなるの?」「どうしてこの言葉を使ったのか?」と疑問符だらけのものが、何百回も練習しているうちに、しっくりと馴染んでくるということがある。それをステージに上げる。うまくいくこともあれば、ダメなこともある。ダメならまた、次の機会に向けてアプローチをしていく。 10年かけてやっと本意に歌えるようになった曲もある。作曲家と、作詞家と、訳詩家とを、絶えず追いかけている心境だ。 それもこれも、「わからない」から追い続けられているのかもしれない。自作自演の「わかる」ものには限界がある。 去年流行った歌って、なんだっけ?
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