不定期更新!?藤原素子の日記帳です。

日々の出来事 〜Diary〜

#413 三文オペラ
2009年04月21日(火)12時25分
Bunkamuraへ。
宮本亜門演出の「三文オペラ」を観た。
宮本亜門については正直さほど興味を持ったことはなかったが、「三文オペラ」は本当に懐かしい。初めに所属したのがブレヒト作品を中心にやっていた劇団だったので、今から思えばまるっきり私の青春時代とも言えるかもしれない(ブレヒトが青春なんて、ちょっと大きな声では言えないケド)。パンフレットに異化効果なんて書いてあるのを見ると、それだけで胸が熱くなってくる。
印象はサイケデリック&パンク!まさに平成「三文オペラ」。正直言って期待は薄かったのだが、ここまでやってくれれば立派だと思う。現代にこそふさわしい「三文オペラ」となっている。今に生きている者の胸にグサリとつきささる展開。改めてブレヒトの偉大さに感服。やっぱり名作は時代を超えるのだね。
クルト・ヴァイルの音楽も、もうイントロだけでシビレる。劇団にいた当時は音楽に携わるとは考えてもいなかった。考えてみればクルト・ヴァイルに衝撃を受けたことも、シャンソンを歌い始めたきっかけであったのだ。
ただ、歌に関してはあまり評価が高くない・・・
酒寄進一が初演版を新訳したとのことで、セリフは良いのだが、歌詞については疑問。プログラムを見ると、メッキー役の三上博史が歌詞を手がけたとのこと。
シャンソンを歌っていて、素晴らしい訳詩に出会うこともある。また、どうにもまずい訳詩に出会うこともある。とかく訳詩を軽く考える傾向にあるようだが、餅は餅屋で、訳詩だって専門職にはかなわない。
素晴らしい訳詩というものは、メロディーと言葉が一体化している。言葉が小節線にまたがっている。ブレスの位置に無理がない。口語と同じイントネーションで歌うことができる。つまり、音楽をよほど熟知していないとできないことで、単なる言葉のチョイスの作業ではない。
残念ながら、何を歌っているのかわからなかった。マイクのリバーブが強すぎたせいもある。三上博史の肺活量が少ないせいもあるかもしれないが、言葉の途中でブレスするようなことでは、やっぱり基本的に歌詞に問題があるのではないだろうかと思わざるを得ない。
そんな条件化で、デーモン小暮閣下は良かった。唯一歌詞がすべて聞き取れる。素晴らしい。


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