不定期更新!?藤原素子の日記帳です。

日々の出来事 〜Diary〜

#157 大人の夏休み
2006年08月16日(水)21時07分
夏休みのつもりで、川村記念美術館へ行く。
電車を乗り継いで千葉県佐倉市へ。佐倉駅から送迎バスで30分。自宅から片道2時間半の道のり。そんな酔狂に誰も賛同せず、ひとりで気ままな小旅行となった。
目当てはパウル・クレー展だ。およそ100点の展示には大満足。絵から奏でられるメロディーに身をまかせて、心地よい時間が過ぎてゆく・・・と言いたいところだが。
この美術館にはがっかりした。

まず入り口で立ち塞がれる。傘を預けてくださいとのこと。入館すると、その下駄には底にゴムがついているや否やと聞いてくる。幸いゴムがついていたのでことなきを得たが、ついていなかったら脱げというのだろうか。床のカーペットはそれほど傷つきやすいのだろうか。
足音が気になるならば、サンダルやミュールの人にもゴムがついているか訊ねてみればいい。
しばしの観賞の後、化粧室があるホールに出た。手持ちのペットボトルの水をひと口。とたんに人が駆け寄ってきて、こちらでは飲食しないでくださいとのこと。逮捕されるかと思ってしまった。作品も何もないただのホールで、一体何の障りがあるのか不明だ。
それからはもう、こちらがまるで監視されているようなイヤ〜な気分になってしまった。

いっそのこと、入り口で荷物チェック、怪しい所持品は没収、作品の前にオリでも設けたらどうだろう。人間はその柵の中から観賞させればいい。
常識の範囲など大人なら承知しているはずだ。この国のモラルは、もはやマニュアルどおりの規制でしか図れなくなってしまった。

第一、殺人的なこの冷房はなんだろう。
あちこちに温度感知器が置いてあるのに、一体どんな設定温度なのか。この温度こそが非常識である。2時間ほどで骨の髄まで凍ってしまい、その後炎天下の庭園を1時間歩いても寒さが抜けなかった。

クレーは生涯自然と向き合っていた。クールビスも温暖化も無視した近代的な箱の中で、感じられたのは大きな大きな矛盾だった。


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